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作成日2000/11/26
更新日2003/11/24
 
夏はどこまでも続いてゆく。彼女が待つ、その大気の下で。

The 1000th summer ──
 
  
夢の翼
 

「そら」
そう名付けてくれた少女はもういない。
僕は何を恐れていたのだろう?

今の僕には翼がある。やっと君の元へと行けるのに・・・

ただ、「みすず」 君の傍にいたかったんだ。

君のいない今、僕は翼を思いっきり羽ばたかす。
君が教えてくれたとおりに。
身体が地面から舞い上がる。
ああ、僕は今 「そら」 を飛んでいる。

ただ、遙か上を目指し飛ぶ。
そこに君がいることを確信して・・・

やっと雲の上まで来たとき、「見つけた」
悲しい夢を見続ける少女。

「観奈」

そっと呼びかけてみる。
あなたはずっとここで夢見続けていたんだね。
今の僕には翼がある。
あなたと共にずっと飛び続ける。

モウ、ヒトリジャナイカラ

悲しい夢を見ないで欲しい。

観鈴と俺とで作ったこの夏の想い出を、いつも夢に見続けて欲しい。
あなたがいつも幸せな夢を見られるように
俺は観鈴と楽しい想い出を作ってゆくから。

そうだろう? 観鈴。

「往人さん、いっぱい遊ぼうね。」
観鈴が微笑む姿が見える。

ああ、このために俺の力はあったのか。
ありがとう、母さん・・・「裏葉」

僕たちは飛び続ける。
僕と観奈の翼のひとつひとつが思いのカケラに変わってゆく。
思いのカケラは、やがて下へと舞い降りて人になる。
いつまでも幸せな夢が見続けられるように・・・

***
さあ、新しい物語を始めましょう。
この星の大気になった少女が幸せであるように
幸せな想い出を作ってゆきましょう。
***

そう、母さんに教わっていた。
でも、僕は全て知っていた。
僕は 「思いのカケラ」 だから

「ねぇ、後ろを振り返ってみようか?」
「うん。」
夏の夕暮れ。
この夏は少し違っていた。

後ろには寝ている青年と、そのとなりに座っている少女。
少女が自分たちに向かって手を振る。
これから何が起こるか知らない笑顔で・・・

そう、ここから 「俺達」 は始まったんだ。

幼なじみの少女と過ごす夏。
僕たちの1000回目の夏はこれからはじまろうとしている。