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更新日2012/10/23 | |||||||
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設定資料 Repeat(リピート) | |||||||
A シェル・ファック・ア・マラタ編 | |||||||
『ごめんね』 そうシェルに言い残し、母は弟と共に帰国した。 幼いシェルには分からなかったが、 母は慣れない外国生活で情緒不安定になっていた。 シェルはただ、母と弟が去っていくのをそのまま見ているだけだった。 あれから、連絡を一切取っていない。 シェルは不在がちの父と暮らしていたが、 あまり話すことがなく、無口に育っていった。 また、容姿が整っていたため絡まれることも多く、 対処していくうちにケンカが強くなり、 近隣の不良から一目おかれる存在となった。 |
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『助けて!!』 その声は、シェルがたまたま通りかかった道の奥から聞こえてきた。 何気なくそちらに目をやると、 黒髪の女が男たちに襲われていた。 黒髪の女 去って行った母の姿が思い出され 気がつくと、シェルの周りには男たちが倒れていた。 そのまま立ち去ろうとしたシェルに女がお礼を言ってくる。 母の事が思い出され、正気を失ったのが気まずく シェルは女を無視した。 その後、女が付きまとってきたが、 黒い髪が母と弟を思い出し、邪険に出来ずにいた。 だんだんと女が傍にいることに慣れ、 女との会話が増え、シェルは女を愛おしく思うようになっていった。 |
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谷坂 貝菜(たにさか かいな)という名の女は 母と同じ黒い長い髪が印象的な女性だった。 彼女の夢はパイロットで、航空学校を目指していた。 航空学校の入学試験は難しく、 シェルも貝菜と一緒に勉学に励み、無事に入学した。 そこで、シェルは弟と再会する。 しかし、弟はシェルの事を覚えていなかった。 落ち込み、弟との接し方に悩むシェルを貝菜が支える。 シェルは貝菜をより愛おしく思い、抱きしめた。 |
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弟とは友人であり、または良きライバルとして 貝菜も女性の友人ができ、 お互いに切磋琢磨していった。 みんなで無事に卒業を迎えたが、 貝菜はパイロットにならなかった。 シェルとの間に新しい命を宿したからだ。 シェルと貝菜は卒業とともに結婚した。 その際、弟にシェルが兄であることがバレたが、 今さら家族として付き合えず、友人関係のままだった。 愛しい妻と大事な友人 そして……新しい家族。 そんな幸せな時間は突如として終わりを迎える。 後数カ月で生まれてくる子供のために、検診に出かけた貝菜は 信号無視の車にぶつかり 意識不明の重体となってしまった。 このままでは母子ともに死んでしまう。 医師はシェルに母か子かどちらか選べと言う。 シェルは悩んだが、貝菜を選ぶ。 貝菜さえいれば、今回は無理でもまた子供は望める。 そう、思ったからだ。 シェルの決断に気付いたかのように 貝菜の容体が急変する。 『殺さないで』 そんな貝菜の声が聞こえたような気がした。 貝菜は自らの命と引き換えに男の子を出産した。 |
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愛おしい存在を亡くし、魂の抜けたシェルは 街を彷徨い歩いた。 ふらふらと歩くシェルに声をかける者がいた。 貝菜のような黒髪の占い師に声をかけられ、 つい話を聞くシェル。 それは思いもかけない事だった。 |
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貝菜が亡くなったのは 母が去っていったのは シェルの前世の罪。 神話の時代に遡るが、シェルの前世は神の子だった。 母親は美しい漆黒の髪の乙女で、 月の女神に仕える侍女だった。 月の女神は処女神で、純潔を重んじていた。 侍女たちも女神に純潔を誓っていた。 悲劇が起こる ある侍女が女好きの月の女神の父神に純潔を奪われ 子供を宿してしまった。 その子供がシェルの前世であった。 純潔の誓いを破った侍女を怒った月の女神は 侍女を獣に変えてしまう。 侍女は獣として森でひっそりと暮らしていた。 数年たち、森にやってきた狩人を見て 侍女は獣の姿で駆け寄り、狩人に殺された。 狩人は彼女の息子でシェルの前世だった。 いきなり駆け寄ってきた獣を母だとは思わず 獲物として殺してしまった。 彼女を不憫に思った父神が母親殺しの息子に罰を与えた。 『愛する人が離れ、会えなくなる』 と、いう呪いを…… その呪いにより、シェルの魂は生まれ変わる度に 愛する人を失っていった。 |
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「谷坂 貝菜は戯れに作った私の分身。」 占い師がフードを外した。 出てきたのは美しく気高いオーラを纏った神々しい女性だった。 「私は戦の女神。 私が戯れで作った女を愛してくれたお前にチャンスを与えよう」 「私の管理する世界が崩壊の危機に瀕している。 あの世界を救ってくれ。 お礼としてお前の呪いを解き、貝菜にも会わせてやろう。」 「ただし、この世界には二度と戻って来れないぞ。」 シェルはもう二度と愛する者を失いたくなかった。 女神の言葉に少し躊躇ったが、 シェルにとって、貝菜より”大事なもの”はなかった。 女神の言葉に同意を示すと シェルの体は消えてなくなった。 |
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エピローグ | |||||||
異世界での戦いも終わり、 シェルは建国の王となった。 王妃として 貝菜はシェルの傍にいつも控えていた。 王国の土台を築いたシェルと貝菜は 王位を子供に譲り旅立った。 この世界の子孫たちが有事の際に役立つものを隠すため、 元の世界の者たちに再び会える道を捜すため、 二人は世界中を旅した。 女神に言われたように、元の世界に戻ることは出来なかったが、 シェルと貝菜は幸せだった。 やがて……シェルの生命は活動を停止する。 貝菜の体も糸の切れた操り人形のように動かなくなる。 二人は女神との契約により、命を共有していた。 二人は同時に動かなくなった。 二人の元に戦の女神が現れる。 女神はシェルの体から魂を取り出し、輪廻の輪に送った。 貝菜の体は動物に姿を変えて魂ごと封印する。 いつか来る混乱の世に 救世の存在とするために 「…お兄様、あなたはずっと私と一緒です」 |
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【あとがき】 | |||||||
昔考えていた話を掘り起こしています。 当時の日付が1990年代です。う〜ん、ネタは考えていたのですが…… ![]() 当初の考えよりお話が少し変わっております。 シェルは元の世界で子供と暮らし、10年後位に亡くなり、 後は弟である水人が引き取るというだけの話でした。 他の話と一緒にしたので、女神がちょっと怖い人になったので補足を。 補足@前世の母親殺しはギリシャ神話からです。 大熊座、小熊座の成り立ちの話で、月の女神はアルテミス、父神はゼウスです。 話が長くなりそうなので、名前は出さず、神話では熊に変えられた侍女を 獣にしました。 補足Aシェルは神の子でもあります。 父神の血を引いているので、潜在能力が高いです。 戦の女神(アテナ)が”お兄様”と呼ぶのもありです。 ひとつ前の前世で兄妹で愛し合っていたという設定もありましたが… 今回は割愛しました。 補足B戦の女神が最後ツンデレ?? 大好きなお兄様を英雄にしたかったので、自分の意のままにできる世界に連れてきた女神様。 女神として干渉できないから、力の一部を分身として存在させてます。 別のキャラ達にする予定でしたが、話が先に進まないので、 シェル&貝菜のコンビにしてしまいました。 世界を存続させるために、シェル&貝菜を世界に閉じ込めてます。 ……ツンデレじゃなく、ヤンデレですか?? シェルの異世界トリップものもネタはあるのですが…進まない。 セラン編として考えていた話は『シェルの呪いを解こう』編だったので、 女神の話でなくても先に進むようになってしまいました。 当初の予定と変わってます(>_<) ネタはあるのでいつかは書きたいですが… そろそろ他の話を進めると思います。 どうぞ、よろしくお願いします。 2012.10.23 りょく |
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SINCE2011/01/12 Ryoku Asakawa |