INDEX GAME 赤石 だんぱ 創作 オリジナル 更新
更新日2012/10/16
 
設定資料 Repeat(リピート)
@ 牧野 水人(まきの みずと)編

 幼い頃に両親が離婚し、水人は母親と二人暮らしだった。

 両親は国際結婚だったが、慣れない外国生活で情緒不安定になり、
 父と兄を残し、水人を連れ帰国。
 それから連絡を取っていない。

 楽天的な水人は『細かいことは気にしない』性格で、おバカな所があり、
 母親との暮らしに何も疑問を抱いていなかった。

 水人は飛行機が大好きで、パイロットを目指す。

 その夢に向かって、がむしゃらに頑張り、航空学校へ入学した。

 そこで運命の出会いをする。
 

 無事に航空学校へ入学したが、訓練が厳しく、新入生がリタイヤしていく。
 半年後、残っていたのは水人を含め3人だった。

 シェル・ファック・ア・マラタ
 見た目は軽薄そーな兄ちゃんなのに、真面目で無口。頼れる男。

 谷坂 貝菜(たにさか かいな)
 漆黒の長い髪が印象的な大人しい女性。でも、芯が強く何事にもくじけなかった。

 レイナ・火之宮(ひのみや)
 燃えるような真っ赤な髪が炎のようで、情熱的な女性。負けず嫌い。

 そして…
 牧野 水人
 小さい頃は楽天的でおバカと言われていたが、猛勉強し航空学校入学。

 4人は仲間であり、よきライバルとなった。
 

 航空学校を無事卒業した4人。
 しかし、パイロットになったのは3人だった。

 貝菜はパイロットにならなかった。

 シェルとの間に子を宿したからだ。

 二人は卒業とともに結婚した。

 その際、もうひとつの事実が判明した。

 シェルは水人の兄だった。
 シェルの結婚式で父と再会した水人。

 父と母はすでに新しい家庭を築いていた。
 シェルももうすぐ新しい家族が増える。

 今さら、家族としては付き合えない。
 水人とシェルは今までどおりの友人関係を望む。

 パイロットとなった3人の仲は変わらないと思われたが……
 

 突然の交通事故。

 後数カ月で生まれてくる子供のために、検診に出かけた貝菜は
 信号無視の車にぶつかり
 意識不明の重体となってしまった。

 このままでは母子ともに死んでしまう。

 医師はシェルに母か子かどちらか選べと言う。

 シェルは悩んだが、貝菜を選ぶ。
 貝菜さえいれば、今回は無理でもまた子供は望める。
 そう、思ったからだ。

 ピーーーー

 貝菜の脈拍がいきなり止まる。
 シェルと医師が貝菜の元へ行くと、貝菜の瞳からは涙がこぼれ落ちていた。
 貝菜の唇がかすかに言葉を刻む。

 「……い…き………て……」

 ドクン…ドクン

 貝菜のお腹で子供の心音が強くなる。

 シェルは悟った。

 貝菜が自分の命より、子供を望んでいることを

 医師は告げる。

 『奥様の蘇生行為を行うと、お子さんは残念ながら耐えられません。』
 『今、蘇生行為を行うと、奥様の蘇生確率は10%です。』
 『確実に今助けられるのは、お子様の方です。』

 「……子供を助けてください」

 シェルが下した苦渋の決断を、水人は見守るだけしかできなかった。
 

 シェルが 消えた

 子供が生まれ、貝菜の葬儀を済ませ…
 一息ついた頃、水人が気付くといなくなっていた。

 水人は子供を引き取り、兄の行方を捜すが見つからない。
 赤子の世話に右往左往する水人をレイナがフォローしてくれた。

 セランと名付けた甥っ子のため、パイロットを辞め子育てに専念する水人。

 そんな自分に付き合わせられないと、レイナから離れようとする水人。
 困っている時はお互い様だと、水人の傍を離れないレイナ。

 水人とレイナの付かず離れずの関係は10年続いた。

 水人とセランと家族になることを望んでいたレイナだが、
 水人の気持ちが変わらないことを知り、去って行った。

 水人はレイナが大切だったから、苦労をかけたくなかった。
 パイロットを辞め、自然が多い村に移り、自給自足の生活を始めた。
 セランに≪生きる≫事に必要だと思われることはすべて教えていった。

 だが、そんな生活では、お嬢様育ちのレイナはきっと耐えられない。

 恋しい気持ちよりも守りたい気持ちが勝ってしまった。

 これが最良の選択だとは思っていても、愛する女性との別れは辛く、
 その後、水人は病気がちになってしまう。
 

 もう、永くはない

 水人は自分自身でも感じていたが、
 医師からも余命が1年あるかどうかだと言われてしまった。
 医師からは入院し、延命治療を勧められたが、
 金銭的な余裕がないため、自宅療養していた。
 気休めの薬草を煎じて飲み、野菜スープを食べる毎日。

 セランとは本当の父子のように接していたが、余命のことは言いだせなかった。
 セランに悟られないよう、水人はいつも通りの生活を心がける。

 セランは15歳になり、航空学校で出会った頃の兄に似てきていた。
 そんなセランを懐かしく愛おしく思う。

 兄の行方はいまだ分かっていない。

 もうすぐセランの16歳の誕生日。
 貝菜が死に、シェルが失踪してからもうすぐ16年。

 昔の事に思い馳せていた水人は疲れを感じた。
 横になり、瞼を閉じる。

 思い出が走馬灯のように流れていく。

 ああ、僕は幸せだった。
 セランと過ごした日々はかけがえのないものだ。

 でも…

 もし、戻れるのなら航空学校で過ごした日々に
 戻りたい。

 シェルと貝菜とセラン
 僕とレイナ

 みんなで幸せになりたかった。

 ふと、誰かに呼ばれたような気がして
 水人は目を開ける。

 そこは一面のお花畑。
 地平線の向こうで人影が手を振っている。

 水人はその人影の主が分かり、微笑んだ。

 『…兄さん』
 
 エピローグ

 セランが学校から帰宅すると
 水人の体は冷たくなっており、手遅れだった。

 水人は自分の死後の準備をいろいろと行っていた。

 葬儀はひっそりと行われた。
 セランが喪主となり、
 他の親類は音信不通で、唯一の肉親を失ったセラン。
 その後見を火之宮家が引き受けた。

 水人がレイナとの別れを決断できないでいた頃、
 レイナの父であり、火之宮家の家長から≪ある提案≫を受けていた。


 『レイナを幸せにするために』
 『レイナと別れてくれ』
 『その代わりに……』

 その言葉は、水人の決断の後押しをした。
 火之宮家は何か望みを叶えてくれると申し出たが、
 水人はセランの後見をお願いした。

 『私はセランより先に死ぬでしょう。』
 『私は天涯孤独になってしまう彼が心配です。』
 『セランが一人で生きる術を身につけるまで、……新しい家族が出来るまで』
 『どうか、私の代わりに彼を見守ってください。』


 火之宮家の後押しもあり、セランは冒険者を目指す。
 一人で生きていくために……
 
 
 【あとがき】
 昔考えていた話を掘り起こしています。
 当時の日付が1990年代です。う〜ん、ネタは考えていたのですが……

 他の話を考えていたのですが、先に進まず、この4人に出てきてもらいました。
 もう少し肉付けして、ちゃんとした読み物に!
 とも、思ったのですが、まったく進まなくなりそうなので、
 説明だけの話になってしまいました。
 これから書く話に何人か登場すると思いますので
 どうぞよろしくお願いします。

 当時は水人のパイロットの漫画とセランの冒険者漫画を描いたのですが……
 資料が残っていないので、没で。
 設定だけ使うかも。

 アンハッピーとか悲恋とかあまり好きではないのですが、
 今回は水人編ということで、このようなカタチになりました。
 次回、シェル編かセラン編になる予定です。
 (女性陣編は……ない、予定です。)
 予定ばかりですみませんがどうぞよろしくお願いします。

 2012.10.16 りょく
 
  
  SINCE2011/01/12 Ryoku Asakawa